それから二回目の冬が訪れた。
2年間の特訓の成果は彼の翼をより大きく、たくましくした。
そして彼の体はより大人の体になり、傷にも強くなった。
しかしながらいまだ彼は飛ぶことはおろか、滑空すらできなかった。
彼はまた空を眺めることが増えてきた。
彼の心はまた何かをなくし始めていた。
その翼は空を掴めていない。
自分には無理なのか…。
そんな思いが彼の心に芽生え始めた。
そろそろ極寒の冬は終わり少し暖かくなり始めていた、そんな頃だった。
彼は空を眺めることが増えていた。
ただ何も考えず空を眺めていた。
ふと彼は空に飛ぶ何かの存在に気づいた。
そして空を眺めてた彼のもとに突然と一匹の小鳥が舞い降りてきた。
その小鳥は大きな彼の翼の上にちょこんと乗った。
その小鳥は目を輝かせ彼に向ってこう語りだした。
「自分が小さかったころからずっとあなたを見ていたよ。」
「あなたの行動にずーっと興味があったんだよ。」
「私に何かあなたの手伝いができない物だろうか?」
小さな鳥は彼の大きな瞳を覗きこみながらそう語った。
突然の訪問、突然の提案に彼は少し戸惑ったが迷わなかった。
その言葉は彼の心に再び希望をもたらした。
彼は喜んで小鳥の提案を受け入れた。
こうして二人で空を目指す訓練が始まった。