それからの彼は小鳥のお墓の周りでただ日を過ごすだけになった。
空を飛ぶことは無くなった。
彼にとって空は小鳥を思い出す辛い場所に感じられた。
いつも下を見て過ごした。
そうやって過ごすしかなかった。
下には彼のお墓しかなく、いつまでも彼はそのことが忘れられなかった。
下を見れば見るほど絶望が湧き上がってきた。
季節が一巡りした頃だった。
彼にとって絶望は日常になっていた。
そしてただなんとなく空を見上げた。
そして突然と友人の事を思い出した。
彼の眼には空を自由に飛んでいる友人が見えた。
空から自分のもとへ降りてくる友人の姿が見えた。
彼は突然と理解した。
彼が僕をこの空へ導いてくれた。
僕が飛ぶことが彼の夢だった。
彼はだれよりも僕の幸せを願ってくれた。
その僕が空を飛ばないのは彼に対する裏切りだ。
僕は一人でも飛ばなきゃいけない。
友人のために飛ばなきゃいけない。
彼は再びその大きな翼を羽ばたかせた。
新しいきっとどこかにあるあの青空を目指して飛び出した。