青空を目指して2

どこまでも続く日々日常。ゲーム・音楽好きのおっさんの半生。日々日常とちょっとだけ思ったことの日記。

空飛ぶペンギン8

 それからの彼は小鳥のお墓の周りでただ日を過ごすだけになった。
 空を飛ぶことは無くなった。
 彼にとって空は小鳥を思い出す辛い場所に感じられた。
 いつも下を見て過ごした。
 そうやって過ごすしかなかった。
 下には彼のお墓しかなく、いつまでも彼はそのことが忘れられなかった。
 下を見れば見るほど絶望が湧き上がってきた。
 季節が一巡りした頃だった。
 彼にとって絶望は日常になっていた。
 そしてただなんとなく空を見上げた。
 そして突然と友人の事を思い出した。
 彼の眼には空を自由に飛んでいる友人が見えた。
 空から自分のもとへ降りてくる友人の姿が見えた。
 彼は突然と理解した。
 彼が僕をこの空へ導いてくれた。
 僕が飛ぶことが彼の夢だった。
 彼はだれよりも僕の幸せを願ってくれた。
 その僕が空を飛ばないのは彼に対する裏切りだ。
 僕は一人でも飛ばなきゃいけない。
 友人のために飛ばなきゃいけない。
 彼は再びその大きな翼を羽ばたかせた。
 新しいきっとどこかにあるあの青空を目指して飛び出した。