中村光2連発。たまたま同時発売。でもたまたまじゃないね。偶然なんてない。必然。ゆえに同時感想。
AUTBはついに完結。と言っても金星行きあたりからかなりグダグダだった本作。正直、やっと終わったか…。良く終わらせたな…。もう作者はこの作品に対する情熱はとっくに失せてたんだと思う。とっくに書きたかったことを書き尽くしていた。それゆえの難産だったと思うが、なんとか綺麗にまとめたな、とは感じた。突拍子もなく始まって、すっごい濃厚ギャグに展開していった本作だがこの巻を読むと、ああそういえば元々はこういう恋愛要素のある軽いギャグノリの漫画スタートだったのかもしれないな、と思い出させてくれた。たぶんもともとあんまりストーリー書くのはうまくない作者だと思う。ゆえに変にストーリーに走った金星編はひどく、さらにいろいろプライベートなイベントが重なってすっかりもうやる気は失せてたんだろうなと。そうこうしているうちにすっかり毒気が抜けちゃって、さらに問題なのがそういうもともと持っていた毒が抜けるにつれ、たぶん「おにいさん」の方が彼女の今のセンスに合致していったと思う。それゆえさらにこっちの作品への愛情は薄れていったんだろうかな、と勝手に推測。でもまぁ初の本格連載作品として、金星編でのグダグダやけくそ感もなく、ほどよい笑いを与えつつ綺麗に終われたと思う。これならみんな納得するラストになっていると思う。そうだよね、この作者強烈なギャグ作家の様に思っちゃうけど、最初から綺麗なポエムページとか書いてるんだよね。一巻まるまる使って書かれたこの話の結末は素直にいいと思いました。爽やかです。
で、この作品のあとがきマンガを読んですぐに「聖おにいさん12」に入るわけですが、そのまま続いてる。なんというか続いてる。見りゃわかる。こりゃ同時発売がいいわけだ。どっちから読んでもイイと思うけど、自分はこの順番だった。面白かった。で、おにいさんは読む前はちょっと心配になるんですよね。AUTBですっかりギャグマンガ作家として毒気の抜かれたような姿を見せられて、こっちももうギャグとして終わってるんじゃないか…?って言う心配が。
でも杞憂でした。いやむしろ勘違いでした。上でも書いたけど、作者のスタイルは変わったんですよ。昔のような斜に構えて卑屈に世の中を見るようなスタイルはAUTBの終末と同時に終わりを迎え、新しい世界のみになったのですよ。重い枷を外しこっちに絞れることになった、そんな勢いを感じる作品。相変わらずの危険なボケと突っ込みの嵐。一時期少し失速を感じていたがそれも打ち消す勢い。笑える。相変わらずの新キャラもいい味出している。まだまだこれからだね、この作者。
荒川アンダー ザ ブリッジ(15)(完) (ヤングガンガンコミックス)
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