青空を目指して2

どこまでも続く日々日常。ゲーム・音楽好きのおっさんの半生。日々日常とちょっとだけ思ったことの日記。

ぼっけぇ、きょうてえ

最近教えてもらった「5時に夢中」を見るようになって、その中で一番気になる女性。有吉反省にも出てる。そう、狂ったおばちゃん「岩下志麻子」。最近すごく気になる。このキャラ好き。この人好き。面白い。頭のねじがなんかおかしい。で、この人のデビュー作。ホラー小説賞みたいなのをもらった「ぼっけぇ、きょうてえ」を買って読む。
もともと映画版のタイトルのみ知っていて、映画版はすっごいえぐい映画だ、と聞いていた。昔はえぐいホラー映画は大好物だったが、自分も年取ってすっかり毒気が抜けちゃって、えぐいのとかダークな映像を見ると精神ダメージが多くて最近あんまり見ていない。この映画も評判だけしか知らなかった。でも作者がこの岩下志摩子だと知って俄然興味が出た。とりあえず読もうと。
作品自体は50Pもない短編。昔の岡山で、女郎が客に話す「ぼっけぇ、きょうてえ」なお話。んー。正直自分にはこの話の怖さはあんまり感じなかった。映画の評価ではグロ系のえぐさが評判だからそういう先入観を持って読んでしまったのも問題かもしれないが。素直な感想を言うと、車で走ってて、道で内臓だして死んでいる動物を一瞬見かけて5分間ぐらいブルーになるけどすぐに忘れてしまう。そんな印象。全体的に雰囲気でおどろおどろしさを出している。雰囲気づくりは色々な仕掛けと相まってとてもよいと思う。しかしこの女郎の話。本質的にこの嫌さを理解できるのは女性だけではないのか?と感じる。男からすると女性の底知れぬ深い闇を垣間見させられたような、ちょっとやな気分になる感じ。そういう感情をたたきつけると言うのはまさにホラー。岩下志摩子の何も隠さない女全開なところが良く出ているんじゃなかろうか。逆にこの女性の肉体的、精神的ダークさを本質的に理解できない男であることが少し悲しく感じてしまう。
文体的には昨日読んだコンセントとは真逆でとにかく、ゆっくり雰囲気でじわじわ押してくる。でもやっぱり計算高い。オチに向かって少しずつ少しずつ盛り上げて行き、最後にぱぁっとオチを出して綺麗に余韻として少しの嫌悪感を残して終わってゆく。なんとなく昔からある伝統的な怖い話やホラーを思わせる。意地悪な作りである。関係はないが高校ぐらいの時に読んだマンガ。恐怖のトラウマ作家「日野日出志」先生のこれまたトラウママンガ「地獄の子守歌」を思い出したわ。まぁこの作者の漫画はどれも今見ても反射的に気分が悪くなるほどの逸材。もうどうしようもないグロ。グロって言ってもなんだろうね?内臓見ただけのグロさじゃない。世間が思う気持ちが悪い物を徹底的に煮詰めてデフォルメして、人を嫌な気分にさせる物のみを抽出したようなグロさ。その人が書いたトラウママンガを思い出してしまったところは凄いかもしれない。まぁ正直ホラーレベルではぶっちゃけ足元にも及びませんが。って言うかホラーでいえば「日野日出志」はレジェンド級の化け物だと自分思いますし。軽い気持ちで突入してはいけない世界ですし。自分この漫画よんで数年ぐらいマジトラウマでしたよ。今でもこの人の絵を見ると反射的に気分悪い。
ちなみに関係ないけど自分にとってのホラーマンガのもう一つのトラウマ作品。楳図かずおの「恐怖・1」に収録された「奪われた心臓」って作品。これも怖かったわぁ…。

ぼっけえ、きょうてえ (角川ホラー文庫)

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地獄の子守唄

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恐怖 (1巻)

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