青空を目指して2

どこまでも続く日々日常。ゲーム・音楽好きのおっさんの半生。日々日常とちょっとだけ思ったことの日記。

刃牙道

新刊単行本のほうでも武蔵編が完結を迎えた。なかなか綺麗に負われていると思う。武蔵編はとても面白く読ませてもらった。自分の中ではかなり高評価。『範馬刃牙』あたりではかなりのグダグダ感を醸し出していてエア朝食なんて迷作も生み出しかなり終末感が漂っていたシリーズだったが、この武蔵編ですっかり持ち直した感がある。
ラストを向かえ冷静に考えたときにふとこのシリーズから行われていた構造の変化に今更ながら気づいた。バキシリーズって言うのは「バキ」という主役が様々な強敵と戦い成長し、仲間を増やしていくって言う少年漫画王道のストーリーだった。特にPart1がその傾向だ。2でもバキはまだまだ成長の余地がある。定番の仲間たちの見せるシーンが増えだんだんバキの活躍自体は減り群像劇化して行く。Part3でバキVS勇次郎っていうラスボス対決をテーマにしバキのさらなる成長を書こうとしたが、じっさいのところ話はグダグダになって行った。もう十分バキは強いのだ。バキと仲間たちは光線こそ出さないが、もうその辺の兵器よりも強いキャラになっちゃったのだ。それより強いパパ勇次郎がうまく提案できず、第3部は中盤グダグダになり、さらにラストのバキVS勇次郎戦も商業的にきっちりとした綺麗な終焉、つまり明確な勝利を描ききれず最後はエア朝食なんて意味不明な領域に突入しある意味レジェンドになった。しかし、この時点でバキの強さは極まっておりもうバキの成長譚を描くことは難しくなっていた。
そんな状況での第4部。宮本武蔵というバキの世界ではあまり描かれていなかった武器メインで戦い、勇次郎クラスのボスキャラの投入。たぶんで出しは「え〜・・・。今更カヨ・・・」って感じだっただろうが、このシリーズは思いのほか俺にとって面白かった。今更何で面白かったかを振り返ったときに物語の構造が今までのバキの成長譚ではなくなっていることに気づいた。バキはやっぱり今回のシリーズでは殆ど成長していない。最初から終わりまで初めから持ってるものだけで戦っている。じゃぁって思ったときに気づく。ああ、この話では既にバキは主人公ではなかったんだなって。ラスボスとして君臨しているはずの武蔵が常にストーリーの中心で動き続ける。あ、この話はバキの話じゃなく武蔵を主役に置いたお話だったのか。武蔵の成長譚だったのかって気づくことができた。ゲストが主役でバキはこのお話においてはラスボスになってたわけだね。武蔵というキャラの爽快なほどの強さ、時代ギャップから来る滑稽さなどで話を作り。バキワールドの仲間たちと戦わせ、ラスボスバキを迎える。物語の構造が大きく変わっているから新鮮で楽しく読めてたんだな、って今わかった。
ラストではある意味予定調和で主人公バトンをバキに返却し、物語から去って行った武蔵。ピクルのような中途半端で雑魚キャラかさせることを許さずきっちり退場してもらったのは良かったと思う。でもいつでも帰そうと思えば帰ってこれるような甘さも残し。まぁでも正直これでバキシリーズも綺麗に終れるか?と思ったらまだ行くのね。まだテーマの提示しか(単行本では)されていないが、バキに帰ってきたバトンはまた次の強キャラに受け渡されるわけだ。次はまた徒手空拳に戻り、長いシリーズの中で何度も「強い」と語られながらその強さを語ることができていなかった国技「相撲」を魅せようというわけだ。
さすがにまたSFファンタジー展開の出だし?って言うのはさすがに作者も気がひけたんだろう。ピクル、武蔵とちょっと世界を広げすぎた感があったし。武蔵のクローンが許されるなら海王なんかも何ぼでも復帰できてお話に緊迫感が無くなるし。だから本編でもバキが「またクローン?」ってセルフ突込みしてる。で、出してきたのが2代目って言う設定。ちゃんと現代人。で、最初から勇次郎超えのキャラ設定を与えてる。さぁ、どんな板垣流相撲論が展開されるのか?様々なトンでも設定が今から楽しみだ。
あとこういうお話の構造になってしまえばバキの世界ではネタキャラ化しているムエタイとか中国拳法とかいろいろやれるよな。やってくれるかな?さすがに今回でこの手の展開は終らせて、次はさすがにリセットして次世代か?ただもう書きつくしてる気もするが。