青空を目指して2

どこまでも続く日々日常。ゲーム・音楽好きのおっさんの半生。日々日常とちょっとだけ思ったことの日記。

フラクタル

上にも書いたとおり全く未視聴状態で放置してたんだけど、一気に全話鑑賞。
なんかこれ前期話題になったという話しをあんまり見かけなかったが、いやこれ面白いですよ。アニメオリジナルストーリーで世界を救う、なんて話なんだがストーリーもハイレベルでまとまっていて、演出も丁寧、シナリオも丁寧、アニメーションの出来も問題なし。正直に言うと作品的には「まどかマギカ」よりずーっとレベル高い気がします。ああいう奇をてらって、視聴者の虚を着くようなことばかりを狙った作品とは対極にあるような、王道まっしぐらなストーリー、展開でした。ラストもある意味まどかと似たような感じだけど、こっちのほうが素直に感動的だ。複線を上手に使ったうまい盛り上げだ。
ただまぁ欠点を感じないわけでもない。その欠点のせいで「まどかマギカ」に完敗したんだろうなぁ、と感じる。
特に感じたのは一話の展開の弱さ。余りにお約束王道展開をやりすぎてしまって…。
ちょっと非凡な退屈な少年の元に、突如少女がまさに空から現れボーイミーツガール。見た目お姫さま的な。で、そのあとを追い回す3人組。当然女性リーダー+デブと痩せの男。なんとなく助けちゃって、提示される謎のパーツ。開かれる非日常世界。
なんていうか頭の中で「ナディアナディナナディア…」とか「ルパンルパン」とかいろんなアニメのシーンが展開されてしまう。何一つはずすことなく。しかもキャラ絵も今の主流の萌絵からすれば圧倒的に地味。いろんなビジュアルデザインがどうも「ジブリジブリジブリ…」と自分の頭を駆け巡る。設定も聞いた瞬間から「あー仮想現実と現実の戦い的テーマねぇ…」と即座にわかって頭の中で「サーマーウォーズーーー」なんて思ってしまうし。とにかく一話でのつかみが弱すぎる。何このパクリアニメ?って言うのが正直な印象。今のアニメ大量放映でこんなつかみをすると一話で切られてしまう。
あとストーリーの都合でしょうがないんだろうが、両ヒロインの付けが極端すぎてこれまた萌的要素が皆無で若いアニメマニアには求心力が低い。全てのキャラが弱いんだよね。余りにストーリーを作りこむことに夢中で、キャラがお話のパーツになっていて、その各パーツが全部昔の王道アニメ。ずばり「ナディア」+「ラピュタ」。これに尽きる。
ストーリー展開もまさに「ナディア」+「ラピュタ」。これ、一年シリーズでやっても良かった気がするねぇ。そのほうがキャラを掘り下げられただろう。
でもこれら王道をきっちり決めるって事は王道の面白さを持ってるってことな訳ですよ。全ての展開がループ世界で何千回も繰り返しちゃったかのごとく、微妙に展開が読めそれを裏切らない。でも安心して見れる。
たぶんスタッフは王道中の王道のアニメを作りたかったんだろうな、と強く感じるよ。子供向けのね。そういう思想が根底に流れるせいか、全体的に流れるアニメオタク批判の精神がぷんぷん漂ってるのも戴けない。そりゃアニメ見るストライク層の批判をやっちゃアニメオタクからはそっぽ向かれるわな。
アニメ作品としてはとてもよくできていると思うが、現在のアニメ事情においての商品としてはこりゃ失敗作だわ。


といろいろ批判したけど、俺は正直好きですよ。こういう超ド直球勝負なスタンスは。製作陣の魂の叫びが聞こえてくるようですし。ただスタッフ真面目すぎだワナ。もう少し斜めに構えて今のライト層をも取り込む老獪な仕掛けを盛り込んだ上でちゃんと王道展開させないと。ホント一話二話の作りがぬるすぎたわ。
ああ惜しい。ほんとに惜しい。でもほんと「まどかマギカ」より、よっぽど面白いのは事実。是非見てもらいたい。


と、書いた後で他所のレビューなどをちらほら見てみる。なんか監督が痛いことやらかしてるようだね。そういうのもアニメオタクに対する嫌悪感がひしひし伝わってくるね。エヴァ完結編作ったときの庵野と同じ様な。
みんながクソ言う理由も十分わかるが、なんとなく心に引っかかる要素が多かったな、俺は。
終盤見てて「あー、女ってホント、我侭で理不尽でよーわからん生きもんだよな」って思ってしまった。まぁでもそれに惹かれるのが男ってもんだ。