青空を目指して2

どこまでも続く日々日常。ゲーム・音楽好きのおっさんの半生。日々日常とちょっとだけ思ったことの日記。

健康食品

親父がガン治療に健康食品を使うんだ、と言って聞かない。確かにその食品の主成分が微妙に効果がある、と言う論文は存在するんだが臨床報告は無し。こういう物が世に出て既に5年以上はたつのに研究自体はどう見ても何も進展しておらず。
ネットでいくら検索しても効果があったという個人的なレビューは見受けられ無い。効果があったと書いてあるのは全部業者の体験談のみ。ただしマイナスの意見もあまり見受けられ無い。高すぎる癖にたいした効果もないのでみんな続けられないし。もともと成分的にはただの食物繊維みたいなモンだから副作用もないんだよね。でもこれって作用もないってこと…。プラスでもマイナスでもない。ゼロの物ってこと。親父とかは担当医と相談して許可が出たから!とか言ってたがぶっちゃけマイナス効果なさそうだからすがりたいならどうぞ。ってことだと思う。
ただね、思うんだよ。
こういうマイナス効果のない物を否定することってすげー面倒なんだわ。親父自体はもう「奇跡」を信じる、「悪徳でもいい」とか、もうね見ててただただ哀れ。そういう人にさ、これはなんの効果もないただのぼったくり商品だよ!ってやめさせたとしよう。これで抗がん剤治療、今後の展開がうまくいきゃいいが、そうじゃないときは「ほれ見た事か!お前らがあれをやめさせたせいで失敗したんだぞ!」ってなるのは目に見えてるんだよな。そうやって恨みを買うぐらいなら、どうせ副作用もないただの水みたいな物なんだから本人の気の済むまでやらせてやるか、と思わざるを得ない心理になるんだよ。医者だって同じだよ。だいたいガンの医師なんかも余命宣言でも事実でも、臨床データ経験データのなかでも最も最悪のパターンを告知する様なんだよね。これは考えてみればわかる事だけど、こういう難病の場合どうしても今後の死亡率は健常者に比べたらとんでもない倍率に跳ね上がるわけだ。要するにいつ死んでもおかしくないステージに突入してる。だから(最悪)半年ですね、となる。医者としては余命宣言は保険みたいな物で、このぐらいは確実に健常者と同じような確率で生きれます。保証します。ただこの先はわかりません。と言ってるんだ。こう言えば半年より長生きすればたとえ一年で死んでも医者は絶対に恨まれたりしない。むしろ感謝される。そういう物なんだ。ネットなんかでガン治療の資料などを読めば実際の存命率はもっと遙かに高い数字に設定されているように見える。ただ現場の治療でそんな5割で5年以上生きれますよ、なんてリスクを負う発言は絶対にできないさ。
ガンの治療って言うのはすごい勢いで進化をしていて昔に比べたらずいぶんと延命率は高くなっているのだが、一般人のイメージはやっぱりガンはとんでもない難病で、死に至る病でしかないんだよな。そういう進化を知らない人間が、こういうゼロ効果のものを患者に与え最悪のラインを超える事ができたら「やった!効いた!」ってなっちゃうんだ。
またさらにこの食品がずるいと感じるのは、この薬品の摂取に関して担当医まで巻き込ませる事だな。そうしないと売れません、とまで書いてある。ただその医者への説明文などが既に一回目の現物と一緒に届くってのはちょっとおかしくねぇか?現物が届く、しかも着払い。健康食品の着払いって金払って箱を開けちゃったらクーリングオフできないんだぞ?それなのにまず担当医と相談しなさいとか。まず同意書をとってからでないとお売りできません、ならまだしもねぇ。医者は上記の理由でOK出さざるを得ないわな。ああ、もうどう考えても型にはめられてる。
もうね、どこまで人の不幸をネタに悪事を働こうとするんだ。最悪の条件下で人の弱みにとことんまでつけ込む。
しかしここまでからくりが見えていながらもこういう何かにすがらないと心の平静が保てない親父を見てると、ただただ不憫でさ…。親父さ、自分宗教家ジャン。なんでこういうときに仏に頼らないんだ?

ちなみに当の本人であるおかんはぶっちゃけこんな物全く信じていない。おれもこりゃ望み薄だし、どう考えてもぼっただよ?と伝えてあるし賛同してくれている。ただおれもおかんも同じ結論なんだわな。親父がこれにすがらないと辛いんならさせてやるか…。おかんもそうしないと親父狂っちゃいそうだもん、とか言ってるし。