青空を目指して2

どこまでも続く日々日常。ゲーム・音楽好きのおっさんの半生。日々日常とちょっとだけ思ったことの日記。

死霊のはらわた

1981年のサムライミのデビュー作のリメイク。サムライミ監督は自分の中では好きな監督の一人。この人のスピーディーで過激な演出には随分度肝を抜かれたものだ。
死霊のはらわたのオリジナルは当時「スプラッター映画」というジャンルを一般に浸透させた立役者。とにかくスピーディーな展開、これでもかという残虐描写、大量な血糊、独特なカット割り、全てが新しく行き過ぎた描写は笑える、と言うスプラッター映画の基礎を作った名作。自分も死霊のはらわたは大好きな映画で、DVDも2枚買ってる。
そのリメイク版というわけだからワクワクするに決まっている。予告編を見ると結構オリジナルに忠実に見えたし。正直オリジナル版はゾンビのスプラッター描写にストップモーションのアニメを使っていたりと、予算と技術的に今見るとチープな部分も多いのでその辺をきっちり作りこんでくれるなら!と期待するのだ。

ネタバレ満載なので好きな人は読まないように。

オープニングでは旧作ではあまり描かれていなかった家の前での出来事が描かれ十分なショック描写で開始する。これは期待どおりか!?と。ところがそのあとはオリジナルではあまり細かく描かれなかった各キャラとの関係性、って言うか主人公兄弟の設定描写がやけに多い。ジャンキーだからと言う理由付けでストーリーを進めるが正直かったるい。この辺のシーケンスはどれもかったるい。まぁ、このへんのシーケンスはラストの展開に関わってくるわけだが…。
序盤からいろいろと旧作へのオマージュ的な描写が感じられる。建物の作りなども前作に忠実。家の前に置いてある壊れた車とかもたぶん前作で使った車だよな。いろんなシーンでも前作のシーケンスが見て取れるが、実際にはオマージュ的に設置されているだけで本編では使用されないことが多い。あくまで新作としてのシーケンスにこだわっている。前作とかなり近い描写を見せつつ細かいゴア描写はほとんど新作。あとゴア描写にCGをほとんど使っていないのもイイネ。こだわりを感じる。ただし個人的にはゴア描写自体はあんまりキモくなかった。しかしながら最近のホラー映画はゴア描写から逃げている作品が多い気がする中、この映画はゴア描写から逃げず真っ向から描いているのは非常に好感が持てた。ぬるい映画なら確実に破壊描写に入る瞬間にカットが変わるよな、ってシーンでもことごとくちゃんと画面で描写する。切れる人体。吹き出す血。ああ、スプラッター映画ってこうだよな、ってでかいスクリーンで存分に味わえるのはほんとにイイ。
しかしあれだ。この映画元の作品のファンを尽く裏切るように作られている。いろんなアイテムが出てくる。序盤で出てくるネックレス。ああ、これってあれだよね!って思うが実際には…。本を焼いて…、あれ?途中でこの本焼けない宣言!?前作の主役の彼、あれ!?と裏切りの連続。完全に前作ファンに対するファンサービスだ。湖畔になるほどそのへんは顕著になっていき、ラスト15分ぐらいで大きく話は変わる。全く違う結末が待っている。自分的にはまぁこれも良し。なんかちょっとご都合的な気がしすぎないでもないが。
前作もラストは血の海展開だったけど、今回も全く違う血の海を見せてくれる。思わずSlayersの「BloodRain」が流れたらいいなぁ、と思うぐらいに。終盤はスピーディーな展開でスクリーンから目が離せない。自分は集中しすぎてコンタクトが乾いちゃって、瞬きしたらコンタクトがずれてしまいラスト10分ぐらいが非常に辛かった;;
一番ラストのシーケンスはちょっとわらける。良くやった!とも思う。スクリーンでラストのシーケンスはいろんな意味で圧巻だ。昔のスプラッターホラーが好きな人間ならあのラストの引きの絵はぜったいグッとくるね。笑える。古き良きスプラッタームービー復権させたい!という強い意志を感じた。

と割とベタ褒めだけど、なんとなく旧作をまた見たくなったのも事実。オリジナルの後半のアッシュの孤独な戦いはいつ見てもいいんだよね。ラストも好きだし。今回のリメイクはよく出来たホラー映画だと思うんだけど、あの前作にあった過剰さが欠けてるんだよね。もっともっとはっちゃけて欲しかった。正直ストーリーなんかいらなかった。

クレジットのあとで入ってるワンカット、これアッシュだよねwお茶目だわ。前作ファン以外には全く意味不明なラストカットでよかったw

20周年アニバーサリー 死霊のはらわた [DVD]

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