青空を目指して2

どこまでも続く日々日常。ゲーム・音楽好きのおっさんの半生。日々日常とちょっとだけ思ったことの日記。

空飛ぶペンギン5/15

 また何度かの季節が過ぎたころ、二人の努力はついに実を結んだ。
 彼ははほんのわずかだが飛ぶことに成功したのだ。
 その大きな翼で風を受け、滑空だけだったが。
 それでも二人の目には希望と歓喜の色に染まった。
 小鳥は自分の事のようにこのことを喜んだ。
 彼もまた心底喜んだ。
 そしてまた彼らはより高い空を目指すようになった。
 どこまでも飛んで行けるように。
 それからまた一つ冬を越したころ。
 彼は自由に空に舞い上がることができるようになっていた。
 初めて空を自由に飛んだ時は
 眼下で呆然と彼を眺めるほかのペンギンたちを眺めて愉快だった。
 彼は生まれて初めて声を上げて笑った。
 友と一緒に飛ぶ空は爽快だった。
 これからはどこへだって行ける。
 この翼と君がいれば。
 彼はそう思い決意した。
 二人はこの狭い世界を飛び出す。
 彼らは二人だけの楽園をめざしこの氷の世界から飛び出した。