旅をつづけた彼ら。
それから何度か季節が廻った。
ある冬の事だった。
降り立った土地から友人が飛び立つことができなくなった。
小さな鳥と大きなペンギンでは命の量が違いすぎたのだ。
良く見てみるともう小鳥のの体はボロボロだった。
静かに目を閉じている友人を眺め彼は途方に暮れた。
自分は今まで何を見ていたのだろう。
激しい後悔の念に襲われた。
しばらくその土地でもう飛ぶことのない友人を前に呆然として空を眺め続けた。
小鳥と飛び続けた空を眺め続けた。
彼は気づいた。
彼と飛んでいることだけが自分の幸せだった。
小鳥と一緒に飛んでいる空こそが自分の楽園だった。
もう彼の楽園は無くなった。
真っ暗な絶望が彼を包んだ。
もう飛べない。これ以上飛べない。
この土地で友人と共に一生を過ごそう。
そう思い彼はこの友人が眠るこの土地で過ごすことを決めた。
彼はもうそれでいいと思った。
このまま自分は友人と眠りにつくんだ。
彼はそう思った。