青空を目指して2

どこまでも続く日々日常。ゲーム・音楽好きのおっさんの半生。日々日常とちょっとだけ思ったことの日記。

「ハイスコアガール DASH」第2巻

色んな意味で話題になった「ハイスコアガール 」のスピンオフ第2巻。もともとのシリーズは押切先生の子供時代のゲーセンの思い出に、そこに憧れの女の子がいたら、ってぐらいの軽いギャグノリの話でスタートした作品でした。最終的には恋愛ドラマになりつつもスト2全盛時代のゲーム事情をかなりディープに織り込んで、青春恋愛ゲーム漫画として奇跡的なバランスになったいい漫画だったと思います。あの時代を野郎たちだけで悶々と燃えていたゲーマーにとってとても心に響く内容でした。
このDASHそのSpinOFF的続編、という位置づけで無印で主人公カップルの恋のライバル、ゲームのライバルとして君臨していた「小春」さんのその後、大人になって中学校の先生になってからのドラマとなっています。
時代的にはゲーセンはどんどん下火になっていき格闘ゲームブームも終焉を迎えた後の話となっています。さらに一巻を読むと問題のある生徒たち、ゆがんだ教師たちに囲まれ悶々と悩み日々を過ごしている「小春」を描くという、どっちかって言うとギャグ寄りだった無印シリーズとは真逆の重苦しさです。問題だらけで、妖怪的で変な登場人物の世界観はいつもの押切節なのですが、無印のライトゲームコメディーを期待すると裏切られます。
1巻の終わりで小春の再始動が語られ、これからゲーム展開をしていく?と匂わせてからの2巻です。ちょっと暗さは軽減されるのか?と思いきや小春は覚醒しているものの周りはさらにカオスに突っ走っていきます。なかなかゲームと話が結びつきません。キャラがゲームにゆっくり巻き込まれていくところは丁寧に描かれていると思いますが、すごくスローテンポです。各キャラがみんな心に悶々とした何かを抱え、ただその沼の中でうごめいています。これぞ押切先生の、鬱積した青春からくるダークな世界で藻掻きながら上に見える青空をただ眺めていた、でも底に沈む道も選ばず、抜け出すこともせず、ただその沼につかっていた、そんな世界観です。
2巻でやっとそれらの伏線が一つの糸になるところが描かれます。とても贅沢なつくりだと思います。今どきここまで丁寧に準備をじっくり描くことを許されるのか?と思ってしまいます。ただ押切節好きには確実に引き込まれる展開です。泥沼の中でたった一本光った道筋、ゲーム。それがみんなを導いていく…。とても楽しみな展開です。
まだまだハルオや大野さんの現在も全く語られていないし展開は予断を許しません。全く想像もつかないストーリー展開です。ゲームの描写はずいぶん少ないですが、その書かれている内容はとても一言さんお断りで、アルカディアを毎号買っていなかった人にはわかんないようなディープさです。その辺もぬかりありませんね。
スピディーな展開の漫画を読みたい人には向かないと思いますが、自分はすごく引き込まれて読んでしまいました。次も楽しみです。