「どうして僕の翼はこんなに大きいのだろう…。」
一人ぼっちで過ごしていた彼はいつもそう思った。
ぺたりと座り込み空をずっと眺めるようになった。
毎日毎日、彼は空を見上げた。
空を見上げ飛んでいる鳥を見た時に彼はふと何かに気づいた。
そして自分の体についている翼とその鳥を何度も見比べた。
「この手についているこの翼は何だ?」
「鳥たちは空を飛んで好きなところへ行っている。」
「あの翼で。」
「僕の翼もあんな風に飛べれば…。」
あふれ出たこの思いは彼の心を少しずつ満たしていった。
「僕のことを受け入れてくれる世界へ羽ばたいていけるはずだ。」
「自分がこんな思いをしなくていい世界がきっとどこかにあるはずだ。」
「どこかにいるかもしれない自分の両親も見つけられるかもしれない。」
「この翼で飛ぶことさえできれば。」
やがて彼の心ははその思いで一杯になった。
一人になって初めて彼は自分のやるべきことをみつけた。
彼の心は希望に満ち溢れていた。