青空を目指して2

どこまでも続く日々日常。ゲーム・音楽好きのおっさんの半生。日々日常とちょっとだけ思ったことの日記。

ダーククリスタル

1982年の映画。同時期には「スターウォーズ帝国の逆襲(83)」ちょっと遅れて「ネバーエンディングストーリー(85)」などが公開されています。他にも1981年に公開された「死霊のはらわた(81)」で始まったゴア映画ブームが突き進み、「食人族(83)」なんて映画が公開されていた頃…。
自分史的には10歳。小学4年生。島根県の片田舎で野山をかけずり回り、少ない民放放送のアニメを見、コロコロやボンボンなどという児童向けホビー雑誌で映画の情報などを見ていた頃。雑誌の紹介で「ダーククリスタル」の紹介があって、とても心惹かれたのを覚えています。
しかしながら、当時町には映画館は一館しか無くその劇場はゴア映画まっしぐらで、町中に血まみれのゾンビやゴア描写の多いショッキングなポスターが貼られまくっていました。今考えるとあり得ないですね。でも、怖い物見たさでどきどきしていました。
とうぜんそんなマニアック・ゴア路線を突っ走っていた(今考えるとうちの町の映画館おかしくね?)うちの町で超正当派ファンタジーであるこの映画が封切られることはありませんでした。確かスターウォーズですら公開されていません。ホラーと東映漫画祭りしかやってなかった気がします。どうなっとるんだ、この町は。
その後この作品に触れたのは高校になった頃です。17歳ぐらいでしょう。
Sierra On-Lineという昔のアメリカのPCゲームメーカーが発売した「The Dark Crystal」のアドベンチャーゲーム。これを日本のスタークラフト社がPC88向けに移植した物を遊びました。
Oh!FM-7:ダーククリスタル(スタークラフト)
当時のアドベンチャーゲーム知ってる人ならわかりますが、かなり理不尽な出来です。原作を知らない自分にとっては意味不明なシーンの連続だった記憶があります。それでも、ヒント集片手に何とかクリアした記憶があります。内容全く覚えてないけど。
時は流れ36歳。初めて出会ったときから26年の歳月を経て、やっとこの「ダーククリスタル」に触れることが出来ました。(前置き長いよ)

映画は正当はファンタジー。徹底的に作り込まれた世界のなかで起こる冒険劇。出てくる生き物も全て一から作った物でとても良く作られています。今となってはどこかで見たような雰囲気ですが、出来のいい物は大衆化するものです。
今の技術を持ってすれば、CG合成により指輪物語のようにどんな幻想的な絵でも取っちゃうんでしょうが、当時はそんな技術はなく、この映画、全てマペットや着ぐるみを使って撮影されています。しかし今見るときっちり丁寧に作り込まれた着ぐるみたちはとても存在感があり、CGでは絶対に描ききれない、フラクタルな物理現象を描き出します。そこに空気がある。そこに重さがある。全てが本物だから出せるリアリティーです。
RotRなどもその辺の切り分けがうまかったですが、この映画とかは全てが着ぐるみであるため半端じゃないです。
しかしながらその分、光学的合成表現はどうしようもなく古く、辛いところはあります。今のクオリティーでこういうシーンだけ作り直すだけで、この映画相当化けそうなきがします。
ストーリーは作成陣も語っていたように、後付で割とご都合主義の展開。世界観を見せつけるために主人公が旅をしていると言うような構成になってしまっており、少々弱い。光と影の設定も開始してすぐ気づく程度の物だし。冒険自体もこれと言ったハラハラドキドキ感があるわけでもない。淡々と進む。キーラはかわいいと思います。ラストも微妙に盛り上がらないですね。ジェンはへたれですね。
全体的にお話しは童話になっています。余り派手なファンタジー物を期待すると肩すかしを食らうでしょう。
しかしながら半端無く作り込まれた世界をのぞき込むだけでもこの映画は価値があると思います。古さは感じさせません。


70点