青空を目指して2

どこまでも続く日々日常。ゲーム・音楽好きのおっさんの半生。日々日常とちょっとだけ思ったことの日記。

悦楽共犯者

なんかこの映画の存在自体は知ってた。知った当時は特に見る術もなかったし、そこまで熱望もしていなかったし。今回たまたま某氏から話を聞きニコ動に有るとの事なので見てみることにした。かなり個性的な映画。
6人のおっさんおばさんが自慰的行為を行うための道具、準備をしそれを実行する。内容的にはほぼそれが全て。ただそれがトテモ個性的な演出が行われている。全編セリフは無し。クラシカルなオペラ曲が場面場面を盛り上げる。たぶん一曲のみ。各キャラの工程シーンは執拗にクローズアップ撮影とねっちこい演出で盛り上げられる。そして一番不可解なのがストーリーと言うか各キャラが自慰的行為を行うための用意がさっぱり意味が解らないところ。ねちっこく丁寧に描かれていく工程が最終的にどう自慰的行為に結びつくのかなかなか理解しがたい。ただみんなそういう背徳的な事のための準備をしているためにコソコソ準備をし続ける。それがオペラ調の曲と相まってやたらドキドキ感を煽る。やたらドキドキするんだけど頭の中は「???」。大体7割はその準備を描き続ける。退屈そうだがなんかあまりに意味が解らないからナニ?ナニ?と思っている間にどんどん進んでいく。退屈しない。そしていざ実行!となると途端にストップモーションのアニメーションが入りだし映像が胡散臭くなってくる。この映像表現が幻想的、妄想的、アシッド的であり現実と妄想との境目がわからなくなる。妄想の中で繰り広げられる行為。しかしそれを見てもなお、これのどこが自慰なのか理解できない物のオンパレード。解りやすい物もあるが歪んでる。ちなみに直接的な性的シーンは皆無。パンツをずらして待っていても抜きポイントは無い(これでぬけるならあなたも立派な変態だ)。そしてラスト。意味不明な行為を終え日常に戻った彼らに待っていたものは…。ちょっとミステリアスなオチをつけて話は終わる。どこまでが現実でどこからが妄想なのかの境界線を曖昧にして。
正直映画としてはとても面白い。ストーリーと言うよりその謎めいた内容と演出にぐいぐい引っ張って行かれる。最近のジェットコースタームービーとはまるで違う演出。ああ、これって映画って思わせる。久しくこういう前衛的な映画は見ていなかった。すごく刺激的だ。別に反社会的な内容も無いし、今のハリウッドアクション映画なんかよりよほど健全です。
ただ微妙に後味が…。なんとも変な気分になった。精神的に影響を及ぼす映画であることは間違いない。