青空を目指して2

どこまでも続く日々日常。ゲーム・音楽好きのおっさんの半生。日々日常とちょっとだけ思ったことの日記。

映画「インターステラー」

割と好きな映画監督「クリストファーノーラン」の監督作品。インセプションまでは全部見ている。この映画は前から存在は知っていたのだが、2:30と言う上映時間とどう見てもハードSFなんでしょ?っていう雰囲気に中々立ち向かえなかった。
それなのにこの心が負け気味な今見るというのは我ながら何考えているんだ。最近なぜか量子論宇宙論、多次元論みたいな話をYoutubeで見漁っていて「ああー世界の見方が変わっていくぅぅぅ」と思っていて、そこでインターステラーのタイトルが良く出てきて急に気になったのだ。
気合入れて見だしました。あっという間の2時間半。濃厚な映画体験でした。
多大にネタバレあるので気になる人は読まないでね。
出だしは全然宇宙とは関係なさげな、静かな人類の危機と言った感じでスローな感じで進みますが、ところどころで不可解なシーンが入ってきます。インタビュー形式の老人の話とか、幽霊からのモールス信号の話とか。実はこの時点でなんとなくこの話の構成は思い浮かんでいました。結局その思いはほぼ正解だったわけですが、見ていてそれがネタばれていたからと言って退屈になったりは有りませんでした。
30分過ぎたあたりから一気に宇宙ものへと物語はシフトし始めそこから映像は凄い既視感。なにこれ2001年宇宙の旅じゃん?すっごい映像の作りが似ています。お話の展開もすごく似ています。2001年宇宙の旅との決定的な違いは「AIとのいざこざが無い」「トップをねらえなどで描かれているウラシマ効果による涙腺ドラマがたっぷり用意されている」「オチが直接的な高次元生命体への進化ではない」って感じです。どれも重要だと思います。
「AIとのいざこざが無い」のはAIの進化はテーマになっておらず、そのため2010年のような話づくりは難しくなります。最後まで人間と頼りあえる関係であり続けるって言うのは心優しく見れます。やっぱり裏切らないペット的存在っていいですよね。
トップをねらえなどで描かれているウラシマ効果による涙腺ドラマがたっぷり用意されている」ですが、これは予想できたことだろうと思うんだけど、自分的には完全に不意うちでした。出発前から「あ、やべぇ」ともう涙腺スイッチ準備ON。要所要所である家族との訣別のドラマがほんと演技がうまい。完全に号泣モード。何度かある別れのシーンで確実に涙腺崩壊している自分。こころが弱っています。それにしてもこの俳優さんいいですね。なんかこういう露骨なお涙頂戴嫌う人もいるのかもしれませんが、自分は大好きです。
「オチが直接的な高次元生命体への進化ではない」終盤のブラックホールに入ってからの展開もまぁほんとに2001年宇宙の旅でしたね。ただ高次元生命体の手助けがより今風の解釈に変更されているのが面白いところ。高次元世界を3次元世界の人間に見せるために、必要な舞台を3次元に射影として映し出すところ(4次元的に展開される3次元空間)や、時空を唯一超える重力派を使っての過去への情報伝達というアイデア。安易に5次元生命体を映像化しなかったのも今風だと思います(5次元人は3次元人には観察不可能)。5次元人から与えられた、統一理論を導く4つ目のパラメータ。そして主人公とAIの帰還。そして統一理論を手に入れた人類が別の宇宙での繁栄を始めるという緩やかな4次元生命体への進化の示唆。なんかわからぬうちにいきなりスペースチャイルドへの進化をしてしまった2001年とはこのおちが決定的に違いました。こっちのほうがすっきりしていて好きです。
結果感情をとてつもなく揺さぶられ、SF的にも大満足。映画表現もほぼ満足。シーケンス展開に一部急さを感じる部分がないでもないですが(一番違和感があったのはラスト付近でマーフィーの兄が畑焼かれて怒髪天で帰ってきたシーケンス。なぜマーフィーの意味不明(見てる人にはわかるが)なセリフで鎮静化できた?)概ね問題ないかと思います。